権利付最終日に買い、権利落ち日に売る戦略
株主優待や配当金についての仕組みを知った多くの方は、じゃあ、権利付き最終日に株を買って、翌日株を売ればほんの少しのリスクで、配当金と株主優待の権利を受け取れるのでは?
と思うことでしょう。では、実際にその戦略が成功するのかどうかを実例を見ながら検証していきます。
ここでは、株主優待サービスに人気がたかい「全日本空輸」「カゴメ」の2009年3月末の権利確定日前後の株価を検証してみます。2009年3月末は、3月25日が権利付最終日、翌日の26日が権利落ち日となりますので、その二日間の株価の変動額を見ていきます。
カゴメのケース
3月25日終値 | 1500円 |
3月26日始値 | 1469円 |
売買損益(1単元あたり) | ▲3100円(31円×100株) |
1単元配当収入 | 1500円 |
株主優待収入(現金換算) | 1000円 |
配当・優待収入 | 2500円 |
総合損益 | ▲600円 |
全日本空輸(ANA)のケース
3月25日終値 | 406円 |
3月26日始値 | 391円 |
損益(1単元あたり) | ▲15000円(15円×1000株) |
1単元配当収入 | 1000円 |
株主優待収入(現金換算) | 4500円 |
配当・優待取りの成果 | 5500円 |
総合損益 | ▲9500円 |
株価は配当金や株主優待を織り込んでいる!
配当金や株主優待をもらえることというのは、周知の事実となっています。つまり、株価自体がこれが貰える権利があることを含めての価格となっているのです。これを「織り込み済み」と呼びます。
上記の例を見ていただくと分かるように、権利付き最終日株価(終値)と権利落ち日の株価(始値)では随分と値段が飛んでいます。これは、権利落ちしたことによりその配当金や株主優待による値上がり分が剥落したことに伴います。
事例では、優待+配当金の額よりも株価が下げていますが、もちろん下げないこともあります。それは配当金や優待が剥落だけでなく、アメリカの相場(NY市場)による影響や為替の影響などもあるためです。しかし、理論上は権利落ち日には、配当金+優待分が下落することになります。そのため株主優待や配当金だけをタダ取りしようとする戦略は上手くいかないことになります。